天塾

天文台の院生たちは自ら集まって『天塾(あまのじゅく)』という講義を行っています.観望会の解説で満足されないお客様と,観望会スタッフの知識向上のためにやっているらしいです.(こんなことここに書くとまた
塾長にこの日記を見られそうだけど・・・笑)
で,今日は見られなかった人のために集中講義がありました.私いつも塾の講義のために見られないのでスゴい助かりました.今日のネタは,電波な暗黒星雲とかの話と超新星残骸の話.
電波な暗黒星雲はちょっと遅れてしまったのでよくわかんなかったですが,低温領域をどうやってみるのかとかそんな話だった気がする・・・暗黒星雲は暗黒で何もないかのように見えるんですが,電波で見るとどういう訳か電波強度が強くなります.これは低温のガスが存在することを意味している訳です.どうして低温のガスかといえば,熱エネルギーが光エネルギーに変換される黒体放射という放射メカニズムに従って放射が起こっているためです.で,暗黒星雲のところにあるのは密度の高いガスなので後ろの星の光を遮ってしまいます.この濃いガスの部分で実は新たな星が生まれているのです.・・・という話.
それから,超新星残骸は,超新星残骸の進化にも段階があって,「自由膨張期」,「断熱膨張期」,「放射冷却期」といわれています.断熱膨張期まではうまいこと理論的に計算ができて,この辺の超新星残骸であれば,爆発の時期を1年単位で推定できたりします.おもしろいことは,超新星爆発によるエネルギーの発散が銀河のハローを加熱し,それが銀河面に向けての圧力として働いているために円盤状構造になるのだということ.で,それだけの加熱を行うためには当然(超新星のエネルギーも十分に大きいですが)沢山の超新星爆発が起こっていて,30年に一度程度銀河系内で超新星爆発が起こっているそうです.地球近傍で超新星爆発が起こったらどうなるのでしょうか???ちなみに,この超新星は重元素を供給したり星形成のきっかけとなったり,我々に不利益をもたらすだけではないそうです.